働き方改革推進支援助成金とは|コースごとの内容や申請方法を分かりやすく解説

「働き方改革推進支援助成金」とは、どのような助成金なのでしょうか。
この記事では、助成金の内容や申請方法などについて分かりやすく解説いたします。複数のコースがあり、対象となる取組も幅広いため、自社で申請できる助成金がないかチェックしてみましょう。

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働き方改革推進支援助成金とは(2021年度版)

助成金の概要について解説します。申請可能なコースは各年度によって異なりますので、申請前には必ず最新情報を調べましょう。

助成金の概要

働き方改革推進支援助成金とは、働き方改革に取り組む中小企業事業主を対象に、環境整備に必要な費用の一部を国が助成する制度です。企業規模による労働環境の格差を是正し、働き方改革を幅広く推進する目的があります。

厚生労働省のホームページにおいて、令和3年度の交付申請受付開始とあるのは次の4つのコースです。

  1. 労働時間短縮・年休促進支援コース
  2. 勤務間インターバル導入コース
  3. 労働時間適正管理推進コース
  4. 団体推進コース

【参考】厚生労働省ホームページ

働き方改革推進支援助成金の申請方法と申請期限(全コース共通)

交付申請期限は、いずれも2021年11月30日(火)です。
申請期限までに、所在地を管轄する都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へ申請書類等を提出する必要があります。窓口へ持参、もしくは郵送で受付可能です。リーフレットと申請様式は厚生労働省のホームページからダウンロードできます。支給対象事業主数は国の予算に制約されるため、早めに締め切られる可能性もあるので注意しましょう。

申請方法以外の全コース共通の内容

コースによって成果目標や支給額などが異なるのに対して、全コース共通の内容もあります。以下では、共通の内容について解説いたします。

支給対象となる取組

厚生労働省のホームページで、支給対象となる取組として記載されているのは以下の9つです。助成金の支給を受けるためには、いずれかひとつ以上の実施が必要です。取組の達成状況に応じて、実施に要した費用の一部が助成金として支給されます。

  1. 労務管理担当者に対する研修
  2. 労働者に対する研修、周知・啓発
  3. 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など)によるコンサルティング
  4. 就業規則・労使協定等の作成・変更
  5. 人材確保に向けた取組
  6. 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
  7. 労務管理用機器の導入・更新
  8. デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
  9. 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新

研修には、業務研修も含まれます。原則としてパソコンやタブレット、スマートフォンは対象となりませんので注意しましょう。また、「団体促進コース」は取組内容が異なります。後述いたしますので、ご確認ください。

取組(事業実施)期間

事業実施期間も明確に定められています。交付決定日から、2022年1月31日(月)までに取組を実施する必要があります。 「団体促進コース」のみ、2020年2月17日(木)までとなっています。

働き方改革推進支援助成金のポイント

働き方改革推進助成金のポイントは2つあります。あらかじめ内容を把握し、スムーズに申請できるようにしておきましょう。

利用可能な取り組みが幅広い

1つ目のポイントは、対象となる取組が幅広い点です。外部専門家によるコンサルティングや本業を効率化するためのソフトウェアや機器も対象となります。自社で申請可能な取組がないか、あらためて確認する事をおすすめします。

支給要件に注意

2つ目のポイントは、それぞれのコースには支給対象となる要件を満たす必要がある事です。まず、以下の要件を満たす中小企業事業主である必要があります。

  • 小売業:出資金もしくは資本金の総額が5,000万円以下、または常時使用する従業員数が50人以下
  • サービス業:出資金もしくは資本金の総額が5,000万円以下、または常時使用する従業員数が100人以下
  • 卸売業:出資金もしくは資本金の総額が1億円以下、または常時使用する従業員数が100人以下
  • その他の業種:出資金もしくは資本金の総額が3億円以下、または常時使用する従業員数が300人以下

また、全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備している事も必要です、詳しくは、コースごとに後述いたします。

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)

続いて、各コースの概要や支給対象、成果目標、支給額などついて解説します。
まずは、働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)です。

概要

2020年4月1日より、中小企業にも時間外労働の上限規制が適用されています。生産性を向上させ、労働時間の短縮・年次有給休暇の取得促進などの環境整備に取り組む中小企業事業主を支援するための助成金です。

支給対象となる事業主

以下の3つの条件をすべて満たす中小企業事業主が対象となります。

  1. 労働者災害補償保険の適用事業主である。
  2. 交付申請時点で、「成果目標」1~3の設定に向けた条件を満たしている。
  3. 全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備している。

成果目標の設定

成果目標に設定するのは以下の3つです。1つ以上を選び、全ての対象事業場において、達成に向けた取組を実施していく必要があります。

  1. 36協定の見直しによる労働時間の縮減、上限設定を行い、所轄労働基準監督署長に届け出を行うこと。
  2. 特別休暇(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇)の規定を導入すること。
  3. 時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入すること。

支給額

以下のいずれか低いほうの額が支給されます。上限額は、成果目標1を達成した場合で100万円、成果目標2・3を達成した場合で50万円です。

  1. 成果目標1~3の上限額および賃金加算額の合計額
  2. 対象経費の合計額×補助率4分の3(※)
    (※)常時使用する労働者数が30名以下かつ、支給対象の取組で6から9を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合の補助率は5分の4

交付申請期限

申請の受付は2021年11月30日(火)まで(必着)です。

【参考】厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」

働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)

働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)の概要や支給対象、成果目標、支給額などについて解説します。

概要

勤務間インターバル制度の導入に取り組む中小企業事業主を支援する助成金です。勤務間インターバルとは、勤務と勤務の間に一定時間以上の「休息時間」を設ける事で、労働者の健康保持や過重労働の防止などを図るものです。

支給対象となる事業主

次のいずれにも該当する中小企業事業主が支給対象となります。

  1. 労働者災害補償保険の適用事業主である。
  2. 次のアからウのいずれかに該当する事業場を有する事業主である。
     ア 勤務間インターバルを導入していない事業場
     イ 既に休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを導入している事業場であって、対象となる労働者が当該事業場に所属する労働者の半数以下である事業場
     ウ 既に休息時間数が9時間未満の勤務間インターバルを導入している事業場
  3. 全ての対象事業場において、交付申請時点及び支給申請時点で、36協定が締結・届出されている。
  4. 全ての対象事業場において、原則として、過去2年間に月45時間を超える時間外労働の実態がある。
  5. 全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備している。

成果目標の設定

以下の3つのうちいずれかを目標に設定できます。

  1. 新規導入(事業所の半数を超える労働者を対象に、9時間以上の勤務間インターバルを新たに導入し、労働協約または就業規則に定める)
  2. 適用範囲の拡大(既に9時間以上の勤務間インターバルを導入している事業所において、対象となる従業員数を半数以上にまで拡大し、労働協約または就業規則に定める)
  3. 時間延長(既に9時間未満の勤務間インターバルを導入している事業所において、半数以上の従業員を対象に当該休息時間数を2時間以上延長して9時間以上とすることを、労働協約または就業規則に定める)

支給額

原則、対象経費の合計額に補助率4分の3(※)を乗じた額が助成金として支給されます。ただし、達成した目標ごとに上限が設けられており、新規導入に該当する取組の有無や勤務間インターバルの長さなどによって支給額は異なります。
(※)常時使用する労働者数が30名以下かつ、支給対象の取組で6から9を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合の補助率は5分の4

交付申請期限

申請の受付は2021年11月30日(火)まで(必着)です。

【参考】厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)」

働き方改革推進支援助成金(労働時間適正管理推進コース)の助成内容

働き方改革推進支援助成金(労働時間適正管理推進コース)の概要や支給対象、成果目標、支給額になどについて解説します。

概要

生産性を向上させ、労務・労働時間の適正管理の推進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を支援することを目的とした助成金です。

支給対象となる事業主

次のいずれにも該当する中小企業事業主が支給対象となります。

  1. 労働者災害補償保険の適用事業主である。
  2. 全ての対象事業場において、交付決定日より前の時点で、勤怠(労働時間)管理と賃金計算等をリンクさせ、賃金台帳等を作成・管理・保存できるような統合管理ITシステムを用いた労働時間管理方法を採用していない。
  3. 全ての対象事業場において、交付決定日より前の時点で、賃金台帳等の労務管理書類について5年間保存することが就業規則等に規定されていない。
  4. 全ての対象事業場において、交付申請時点で、36協定が締結・届出されている。
  5. 全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備している。

成果目標の設定

以下の1~3までを、全ての目標達成を目指して実施する必要があります。

  1. 全ての対象事業場において、新たに勤怠(労働時間)管理と賃金計算等をリンクさせ、賃金台帳等を作成・管理・保存できるような統合管理ITシステム(※)を用いた労働時間管理方法を採用すること。
  2. 全ての対象事業場において、新たに賃金台帳等の労務管理書類について5年間保存することを就業規則等に規定すること。
  3. 全ての対象事業場において、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に係る研修を労働者及び労務管理担当者に対して実施すること。

支給額

成果目標を達成した場合、対象経費の合計額の4分の3(※)が支給されます。上限額は50万円までです。
(※)常時使用する労働者数が30名以下かつ、支給対象の取組で6から9を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合の補助率は5分の4

交付申請期限

申請の受付は2021年11月30日(火)まで(必着)です。

【参考】厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)」

働き方改革推進支援助成金(労働時間適正管理推進コース)の助成内容

働き方改革推進支援助成金(労働時間適正管理推進コース)の概要や支給対象、成果目標、支給額になどについて解説します。

概要

中小企業事業主の団体や連合体を対象とした助成金です。団体に属する事業主が雇用する労働者に向けて、時間外労働の削減や賃金引上げなど、労働環境の改善に向けた取組を実施した団体などに対して助成する制度です。

支給対象となる事業主団体等

支給対象となるのは、法律で規定された事業協同組合・信用協同組合・商工組合などの事業主団体、または協定書を作成している共同事業主です。事業主団体の場合は3事業主以上、共同事業主の場合は10事業主以上で構成されている必要があります。また、中小事業主が団体の半数以上を占めている必要があります。

支給対象となる取組

以下のいずれか1つ以上を実施する必要があります。

  1. 市場調査の事業
  2. 新ビジネスモデル開発、実験の事業
  3. 材料費、水光熱費、在庫等の費用の低減実験(労働費用を除く)の事業
  4. 下請取引適正化への理解促進等、労働時間等の設定の改善に向けた取引先等との調整の事業
  5. 販路の拡大等の実現を図るための展示会開催及び出展の事業
  6. 好事例の収集、普及啓発の事業
  7. セミナーの開催等の事業
  8. 回指導、相談窓口設置等の事業
  9. 構成事業主が共同で利用する労働能率の増進に資する設備・機器の導入・更新の事業
  10. 人材確保に向けた取組の事業

成果目標の設定

支給対象となる取組について、事業主団体などが事業実施計画で定めた目標の共有度合いが成果目標になります。具体的には、事業実施計画で定めた「時間外労働の削減」または「賃上げに向けた改善事業」について、構成事業主の2分の1以上がその取組、または取組結果を活用した場合において、成果目標を達成したとみなされます。

支給額

取組の実施に要した費用の一部として、以下のいずれか低い方の額が支給されます。支給額の上限は500万円までです。

  1. 対象経費の合計額
  2. 総事業費から収入額を控除した額

交付申請期限

申請の受付は2021年11月30日(火)まで(必着)です。

【参考】厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)」

まとめ

働き方改革推進支援助成金は、対象となる取組の範囲が広いのが特徴です。助成金には申請期限が定められているため、自社に適した助成金情報を見逃さないように随時確認しましょう。

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