グループアドレスとはフリーアドレスの種類の1つで、部署やチームごとのエリアの中で、自由に座席を選ぶ働き方です。フリーアドレスよりも運用を始めるためのハードルが低いことや、部署内でのコミュニケーションが取りやすいことがメリットで、導入する企業が増えています。この記事では、グループアドレスの概要やメリット、成功事例などをご紹介します。自社に導入する際の参考にしてください。
グループアドレスとは
グループアドレスとは、部署やチームごとに大まかなエリアを決めた上で、自分の席を自由に選択する働き方のことです。従来のように個人のデスクはなく、隣に座る社員が固定されないため、多様なコミュニケーションが生まれます。グループごとのエリアを定期的にシャッフルすることで、他部署との交流の活性化も期待できます。人間関係の円滑化や業務効率の向上も期待できます。
フリーアドレスとの違い
フリーアドレスとの違いは、座席のエリアが指定されているのか・いないかです。フリーアドレスの場合、基本的には社員全員がオフィス内の全ての席を自由に選択できる働き方です。目的や気分によって席を選ぶことができるため生産性の向上が見込める一方で、業務上部署やチームなど決まったメンバー同士の直接的なコミュニケーションが必須な場合、フリーアドレスだと非効率になってしまう場合があります。ある程度のエリアを決めて、その中で自由に席が選べるスタイルのことをグループアドレスといいます。
グループアドレスを活用するメリット
グループアドレスの様々なメリットについて、以下で詳しく解説します。
マネジメントしやすい
部署・チームごとにまとまっているため、管理職は部下の進捗管理や勤怠管理がすぐにでき、マネジメントしやすくなります。また、部下の担当している業務内容や業務量も把握しやすいのが特長です。フリーアドレスの場合、社内のどこにでも席が確保できるので、特に広いオフィスだと部下がどこにいるかすぐに分かりません。こまめに打ち合わせしたり進捗状況を確認したりする仕事の進め方の場合、グループアドレスの方が向いています。
部署・チームの連携を取りやすい
決まったエリアに集まって業務を行うため、気軽にメンバー同士で会話をしながら業務を進められます。困った時は相談がしやすく、トラブル発生時も迅速に対応できます。個人ではなく、チームで業務を進めているという一体感は、従業員のモチベーションを高めることもあります。基本的にはフリーアドレスを導入し、連携の必要な部署や期間の決まったプロジェクトはグループアドレスにするなど、フリーアドレスとグループアドレス併用する方法もあります。
人材育成をスムーズに行える
新入社員は、会社やメンバーに馴染むまでにある程度の時間が必要です。グループアドレスの場合、同じ部署が近くにまとまっているため、仕事を教えやすく、新入社員がすぐに先輩に相談できます。分からないことを質問し解決できる環境は、新入社員の不安軽減にもつながり、人材育成をスムーズに行うことが可能です。
導入のハードルが低い
グループアドレスは、従来の固定席のオフィスに近いスタイルです。固定席に慣れている社員や、環境変化が苦手な社員にも受け入れてもらいやすいため、導入のハードルが低くなります。いきなりフリーアドレスを導入する前に、まずはグループアドレスから始めたり、部署単位で導入の有無を決められるため、一部の部署を試験的に導入したりすることも1つの手です。
自由に運用できる
グループアドレスは部署単位で導入できるので、席の運用ルールは社内で統一せず、部署単位で異なるルールを適用させることができます。定例ミーティングの頻度や新入社員の席など、業務内容や状況に合わせてチーム内で相談し、最適な方法を試しながら柔軟に導入できます。
レイアウト変更をスムーズに行える
フリーアドレスやグループアドレスを導入する場合、離席したり終業後に退社する際は次の人が使えるように自分の荷物は片づけなければならないため、個人ロッカーなどを設置するのが一般的です。これに伴い、デスクには引き出しやワゴンなどが不要になるため、収納の無いシンプルなデザインのデスクで業務の環境が整います。さらにキャスター付きのデスクであれば、組織変更やプロジェクトの立ち上げ、感染対策などに応じて、素早く簡単にレイアウト変更を行うことが可能になります。
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グループアドレスの導入する手順
導入には目的の設定やレイアウトや運用ルールの設定といった事前準備が欠かせません。導入する手順を解説します。
導入目的を設定する
まずは、導入する目的を設定します。例えば「部署・チーム内や従業員同士のコミュニケーションの促進」といった、具体的な目的を設定し、共有します。目的に対するメリットや、期待できる効果をメンバーと共有すると、導入後の不満の発生防止につながります。アンケートを実施して意見を求めることも効果的です。
対象と座席数を決める
業務内容に合わせて向き・不向きを検討し、どの部署を対象に活用するかを決めます。部署が決定したら、現在の在席率の調査を行い、必要な座席数を決めます。無駄なコストをかけないためにも、時間帯や週単位での在席率の把握が必要です。
レイアウトを検討する
座席数が決まったら、レイアウトを検討します。レイアウト変更がしやすいキャスター付きのデスクや、ロングランデスクを採用すると便利です。様々なシーンに対応できるよう、個人で使用できるブースやWebミーティングができるブースなども、業務内容に合わせて設計しましょう。持ち物の量に応じて、個人用のロッカーの設置も検討する必要があります。
運用ルールを社内共有する
目的に合った運用ルールを決めます。運用ルールをマニュアル化して共有したり、必要に応じて説明会を開いたりします。不明点が残らないように、社内共有することが重要です。運用ルールは定期的に見直すと働きやすい環境が作りやすくなります。従業員が目的や運用ルールを理解した状態で導入しましょう。
グループアドレスを成功させるポイント
運用を成功させるには、どのようなアクションが必要なのでしょうか。成功させるポイントを解説します。
・従業員に目的を浸透させる
導入する目的が共有されていないと、グループアドレスを効果的に運用できません。事前に社員からの十分な理解を得ると、導入後の不満発生防止にも効果的です。事前アンケートやヒアリングの実施、セミナーの開催をするなど、誤解や理解不足が発生しないような配慮が成功へとつながります。
・相性を検討し、適時ルールを見直す
導入予定の部署・チームとの相性を検討し、向いているか・いないかを判断しましょう。チームワーク重視や、直接的なコミュニケーションが必須な組織がグループアドレスに向いています。細かい運用ルールは部署やチームごとに任せたり、見直しを行ったりするなど、柔軟性のある自由な運用方法にすると良いでしょう。
グループアドレスを導入した企業事例4選
実際に、自社に導入している4つの企業様の事例を解説します。自社に導入する際の参考にしてください。
西日本高速道路株式会社 九州支社様(200名・福岡県)
仕切りのないオープンなオフィスで、コミュニケーションの活性化を図っています。全社的に珍しい個人ロッカー運用にてグループアドレスを採用。部門毎の業務特性に合わせた働き方の実現と、空間社員同士の関わり合いが増えるオフィスづくりを目指しました。
高円宮記念JFA夢フィールド様(100名・千葉県)
オフィスの新設に合わせてグループアドレスの運用を開始。ファシリティ管理軽減を可能にする大型ロングデスクを採用しています。ロングデスク以外にも、上下昇降デスク等、様々な席を設置することで、業務内容や気分に応じて働く場所を選べるよう工夫をしています。
ブラザー販売株式会社様(70名・愛知県)
経営理念である"At your side."の実現、遊び心のある新しい働き方へ向け、本社オフィスで働くワーカーの意識改革を行うため、オフィスのリニューアルを実施。営業・企画部門はフリーアドレス、受発注部門はワゴンなしのグループアドレスの運用を行っています。
東山フイルム株式会社 瑞浪工場様(50名・岐阜県)
新オフィスへの移転をきっかけに「創造性の高まる働き方」に挑戦。執務席は、固定席ではなく、グループアドレス制を採用することで、部署内でのコミュニケーションを確保しつつ、社員同士の交流を促す運用をスタートさせました。
まとめ
グループアドレスとは、部署やチームごとにエリアを決めて自由に席を選ぶ働き方です。導入する際には、目的やルールの共有など社員の理解が必要不可欠です。社員の意見にもとづきながら、快適に業務やコミュニケーションが行える空間作りを心掛けましょう。
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