フリーアドレスを導入する際は、あらかじめ運用ルールを決めておくとスムーズです。この記事では、働き方やオフィスづくりをご検討されている企業の担当者の方に向けて、フリーアドレス化の運用ルールについて解説します。フリーアドレスを成功させるために必要な事前準備のポイントなど、ぜひ参考にしてください。
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オフィスのフリーアドレス化とは
オフィスのフリーアドレス化とは、社員ごとに決まった座席を設けるのではなく、各社員がオフィスで自由に席を選んで仕事に取り組めるように、オフィス環境やワークスタイルを整備することです。
働き方改革や急激なテレワークへの移行によるワークスタイルの変化により、社員同士のコミュニケーションの促進、仕事の生産性向上、オフィスの省スペース化などを目的に、フリーアドレスを検討する企業が増えています。
フリーアドレスの導入方法やメリット・デメリットについてはこちらのページで詳しくご紹介しています。
フリーアドレス用のデスクの選び方についてはこちらのページをご覧ください。
フリーアドレス化のメリット
フリーアドレス化にはさまざまなメリットがあります。ここでは、4つのメリットについて解説します。
社員同士のコミュニケーションの促進、活性化、新たなアイデアの創出
固定席の場合、席の近くにいる人としか会話しない等、コミュニケーションする相手に偏りが出てしまいがちですが、オフィスをフリーアドレス化すれば、もともと席が遠かった社員同士が触れあう機会が増加することで、他部署の社員ともコミュニケーションがとりやすくなり、社内全体を活性化させるきっかけにもなります。さまざまな部署のメンバーと会話が広がることで、ビジネスに役立つアイデアも創出しやすくなるでしょう。
業務の効率化にもつながる
席が固定されていないため、柔軟な働き方が実現できます。たとえば、プロジェクトごとにメンバーが集まりながら業務を進められたり、新人教育のために期間限定で先輩社員が交代で近くに座ったりするなどです。それぞれのタイミングで最適なメンバー同士が集まることで、業務の効率化が期待できます。また、書類作成に集中したいので個別ブースにこもる、アイデア出しを行いたいので交流スペースで仕事をするなど、その日やりたい業務で座席を選ぶなど、自律的働き方を促進することにもつながります。
オフィススペースの有効活用、省スペース化
営業メンバーは日中ほとんど外出しているなど、社員の多くが頻繁に離席する企業の場合、フリーアドレス化で全社員分の座席を用意するのではなく、全社員の70%分の座席を用意するなど、全体の席数を減らすことでオフィススペースを有効活用できます。状況によっては、従来のオフィスよりコンパクトなオフィスに移転できる可能性もありますし、余ったスペースにリフレッシュスペースを新設するなど別用途へ有効活用することもできます。
社内美化につながる
自分の固定席がなければ、デスクに書類や荷物を置きっぱなしにできなくなります。帰宅時や離席時は机に上に何もない状態にしておくなど、整理整頓によりほかの人が使いやすくする必要があるため、いつでも社内全体が片付いている状態になります。
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フリーアドレス化がうまくいかないと感じるのはどのようなことが原因か
フリーアドレス化にはたくさんのメリットがありますが、実際に導入した企業のなかにはうまくいかないと感じているところもあります。ここでは、フリーアドレスがうまくいかないと感じる原因を解説します。
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目的が明確になっていない
単にフリーアドレス化するだけでは、効果を感じられない可能性があります。フリーアドレスの導入にあたっては、自社にどのような課題があり、どう改善したいのか明確にしたうえで、それを解決する手段としてフリーアドレス化がよいのかどうか検討する必要があります。
社内環境がフリーアドレス化に対応していないまま導入してしまった
フリーアドレス化するためには席を自由化するだけでなく、さまざまな準備が必要です。たとえば、固定電話やデスクトップパソコンしかなく、無線LANやWi-Fi環境を整備していない状態でフリーアドレス化すると、社員はかえって働きにくくなってしまいます。
誰がどこにいるかわからず、困ることが続出
ルールを定めないままフリーアドレス化すると、チームや部下の状況がわかりません。体調や仕事の様子、出社状況もすぐに把握できないため、マネジメントしにくくなります。
また、郵便物の配布や顧客対応の取りつぎがスムーズにいかなくなる可能性もあります。コミュニケーションがうまくいかなくなれば、業務に支障をきたす可能性が高いです。
結局、席が固定化してしまう
毎日違う席を選ぶのは面倒だと感じ、結局いつも同じ席に座る社員が出てくるケースもあります。特に上司が固定席に座っていれば、部下もそれにならって同じ席に座ってしまうでしょう。また、コミュニケーションが不得意なせいで孤立したり、企業への帰属意識が薄らいでしまったりする社員もいます。
収納スペースが少ないことから書類や文具、備品等の管理、持ち歩きが発生し不便
フリーアドレス化すると自分の席に荷物を収納できないため、書類や文具などの細かい備品を管理しにくくなります。いちいち持ち運ぶのは面倒なため、社員から不満の声が上がる可能性があります。
集中できない
周囲に自分とはまったく関係のない業務を担当している人が座っていると、不要な会話が聞こえてきて自分の仕事に集中できなくなる恐れもあります。集中できるスペースがないと、かえって生産性が低下してしまう恐れがあります。
フリーアドレス化を成功させるために必要なこと
ここでは、フリーアドレス化を成功させるためには、具体的にどのようなことを意識するべきか解説します。
フリーアドレスに適した組織であることが必要
企業全体がフリーアドレスに適した組織になっている必要があります。職種によって向き不向きもあるため、職種ごとの検討も必要です。
・フリーアドレスに向いている組織や職種
フリーアドレスには、会議・ミーティングなど打ち合せが多かったり、得意先への訪問など頻繁に外出・離席したりする部門が向いています。また、ノートPCやタブレットで業務ができる職種も向いているでしょう。たとえば、企画や営業などです。
・フリーアドレスに向かない組織や職種
研究職やクリエーターなど長時間席に座って業務を進める職種や、総務など頻繁に社員から相談や依頼があるような部門は、フリーアドレスではなく固定席の方が向いています。また機密書類を多く扱う人事部門などは書類を持ち運ぶことによる情報漏洩のリスクもあるため、フリーアドレスの導入は慎重に検討しましょう。
運用のための事前準備とルール作りが必要
フリーアドレス化を成功させるには事前準備をしっかり行い、運用ルールも整備する必要があります。きちんと用意していないと失敗する可能性が高まるため、注意が必要です。具体的な方法については、以下で解説します。
フリーアドレス化を進めるために必要な事前準備
ここでは、フリーアドレス化を進めるためにはどのような事前準備を行うべきか解説します。
目的を明確にし、社員へ説明する
フリーアドレス化を成功させるには、社内コミュニケーションの活性化や自律的な働き方の促進など、あらかじめ目的を明確にしたうえで導入する必要があります。そのうえで、新しい働き方が浸透するように、実際にフリーアドレスで働く社員にも理解してもらうためにしっかり説明するようにしましょう。
様々な面で、オフィス環境を整える
フリーアドレス化のメリットを享受するためには、社員が働きやすいオフィス環境を整えることが大切です。たとえば、Wi-Fiや無線LANなど通信環境を整備したり、携帯電話やスマートフォン、ノートパソコンなどを補充したりしましょう。また、共有で使いやすいデスクやイスを配置し、レイアウトを工夫する必要があります。個人荷物の収納や郵便物の受け渡しとして個人用のロッカーや、オフィス内でノートパソコンなど荷物を持ち運ぶためのモバイルバックがあると便利でしょう。さらにペーパーレス化も推進すれば、荷物も減らせるほか、書類を持ち運ぶ必要がないため、テレワークなどより柔軟な働き方を実現できます。
入退室管理や位置情報などICTシステムの導入
フリーアドレス化するとどこに誰がいるか把握しにくくなります。入退室管理システムを導入してセキュリティを強化しましょう。選ぶシステムによって、さまざまな方法で入退室の状況をチェックできますし、出社率の把握にもつながります。位置情報システムがあると誰がどこにいるのか把握しやすいため、フロアが分かれているオフィスや、広いオフィスでは有効です。また、同じ部門のメンバーは、スケジュールソフトで日々のスケジュールを把握できる状態にしておくとよいでしょう。
位置情報システムに関する詳しい情報はこちらのページをご覧ください。
フリーアドレス化に必要な運用ルール
フリーアドレス化を導入する場合、どのような運用ルールを設ければいいのでしょうか。具体的に解説します。
電子ファイルの共有化などペーパーレス化を進める
電子ファイルの共有方法を決め、どの席に座っていても社員同士が連携してスムーズに業務を進められるようにしましょう。書類がある場合は、たとえば「1人当たりの書類量は個人ロッカーに入るファイルボックス3箱分にする」など書類量の上限と収納場所を決めて、それを維持するためのファイリングルールを設定するとよいでしょう。
フリーアドレスの書類管理方法について詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください。
固定席にならないような工夫をする
席が固定化しないように、席を決めるためのルールも設定しましょう。たとえば、くじ引きをしたり、週ごとにエリアを変えたりする方法があります。働き方によって、3時間以上離席する場合は席を変える、帰宅する際は席に荷物を残さないといったルールを決め、徹底することも大切です。席を予約制(ホテリング)にすることもひとつの方法です。
チームアドレス、グループアドレスなどの導入も検討する
完全にフリーアドレス化すると部門内のコミュニケーションが減ってしまうのではないかと不安な場合は、同じ部門同士は決まったエリア内でフリーアドレスにするグループアドレスを採用する方法もあります。また、週1回だけグループアドレスにするなど、スケジュールをあらかじめ決めておくやり方もありますし、グループアドレスでも、毎回違う部門が隣合わせになるように配置を変えると、部門間のコミュニケーションも担保できます。あわせて、朝礼やミーティングなどの方法も検討しましょう。
グループアドレスについて詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください。
郵便物や電話の取り次ぎ方法を明確にする
フリーアドレス化する場合、郵便物の配布や電話の取り次ぎの方法についても運用を検討する必要があります。たとえば、郵便室で部門ごとに荷物を分けて都度取りに来てもらう、個人ロッカーに郵便受けがあるタイプを選ぶなど、スムーズにやり取りできる仕組みを考え、全社員が同じルールに基づいて運用できるようにしましょう。
職種や業務に対応したレイアウトにする
通常の業務を進めるためのデスクだけでなく、業務に合わせて、集中するために使用できる個別ブースや外出の合間に立ち寄れるタッチダウンスペースなどを設置すると、より効率的な働き方に繋がります。その場合、それぞれの使い方にあわせたスペースと運用を検討するとよいでしょう。例えば「集中ブースの使用は1時間まで」など占有しないルールを設けたり、「タッチダウンは予約なしで使用可能」など社員が使いやすいルールにしたりしておくなどです。また、フリーアドレスを導入する社員数やその在席率から座席数やレイアウトを決めることで、無駄な座席やスペースができるのも防止できます。
フリーアドレスのデスクの選び方や座席運用について詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください。
電話やWEB会議、飲食のルールを決める
業務に集中して取り組みやすい環境を維持するためには、細かなことでも意外と気になる場合がありますので、電話やWEB会議、飲食に関するルールも明確に定めるとよいでしょう。たとえば、自席ではなく通路側で電話をする、WEB会議ではイヤホンは必ずつけファシリテートする場合は専用ブースで実施する、お菓子とドリンクはOKだが食事は禁止する、などです。
収納する場所と量を確保する
収納スペースは、可動式ワゴン、共用ロッカー、個人用ロッカーなどさまざまなタイプから選択できますが、フリーアドレスでは自席に荷物が置いておけないため、個人の書類や荷物は個人ロッカー、部門共有の書類や備品は共用ロッカー、防災備蓄品は専用の収納庫など、自社の状況にあわせ、社員にとってより使いやすいタイプの収納スペースを確保し、運用ルールを決めるようにしましょう。書籍や文具など社員で共有できるものはまとめておくと省スペースにつながります。
フリーアドレスの荷物の収納方法について詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください。
整理整頓や清掃を習慣化する
フリーアドレスではデスクやイスを共有するため、座席近くにお掃除シートなどを置いておくなど、離席時は手軽に掃除ができるようにしておくとよいでしょう。また、「毎週木曜日14時から10分間は全社員一斉に掃除をする時間にする」と決めて、荷物が増えない工夫をするなど、掃除が習慣化するようなルールを決めておくとよいでしょう。
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まとめ
フリーアドレスを導入する際は、あらかじめ運用ルールを決めておくとスムーズです。この記事では、働き方やオフィスづくりをご検討されている企業の担当者の方に向けて、フリーアドレス化の運用ルールについてフリーアドレス化を導入する際は、さまざまな準備が必要です。フリーアドレス制のもとでスムーズに業務を進めるためのルールを定め、社員全員がそれまで以上に効率的に働くことのできる環境を構築しましょう。
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