ワークエンゲージメントとは、従業員のメンタルが健康かどうかを示す概念のひとつです。
従業員の生産性や定着率をアップさせる方法の1つに、ワークエンゲージメントを向上が挙げられます。
この記事では、ワークエンゲージメントついて詳しく解説いたします。
メリットや注意点なども紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
ワークエンゲージメントとは
ワークエンゲージメントとは、従業員の心の健康度を示す概念のひとつで、
仕事に対して「熱意」「没頭」「活力」の3つが揃って充実している心理状態のことです。
従業員たちが自ら考えて動き、仕事に工夫を凝らして、周囲と協力するのがワークエンゲージメントの高まった組織だと言えます。
ワーカホリックや職務満足感などとは異なる
ワーカホリックや職務満足感などの言葉もありますが、ワークエンゲージメントとは区別して考える必要があります。
ワーカホリックとは、仕事における活動水準はプラスですが、業務内容などにネガティブな感覚を抱く心理状態のことです。
一方で、職務満足感は仕事へのやりがいはありますが、活動水準が低い心理状態を指します。
また、活動水準、仕事へのやりがいのどちらも低い状態のことをバーンアウトと呼びます。
ワークエンゲージメントと職務満足感は、仕事へのやりがいが高く、働きがいを感じやすい心理状態といえます。
ワークエンゲージメントを含めた4つの概念を、以下の図表にまとめました。
ワークエンゲージメントは3つの要素で成り立っている
ワークエンゲージメントを構成する3つの要素について、以下で解説します。
活力
活力とは、業務へ積極的に取り組む姿勢を示す高水準のエネルギーのことです。
活力のスコアが高い場合、自分が好きなことをするように活き活きと仕事を楽しめていると評価できます。
没頭
没頭とは、業務や作業にのめり込んでいる際に抱く幸福感、あっという間に時間が過ぎ去る感覚のことです。
没頭のスコアが高い場合は、仕事に熱中している、熱心に取り組んでいると評価できます。
熱意
熱意とは、自分の仕事に対してやりがいや誇りを感じている状態を指します。
また、自分の任された業務以外にも、関連の業務や部門への幅広い興味や関心を持つ傾向が見られます。
ワークエンゲージメントが向上すると得られるメリット
ワークエンゲージメントの向上を図れた場合、どのようなメリットが得られるのか、
以下で確認しておきましょう。
生産性がアップして組織が活性化する
従業員のワークエンゲージメントが高まれば、業務に対する向き合い方が前向きになり、生産性がアップします。
また、従業員と会社の関係性が改善されれば職場の雰囲気も良くなります。
結果として、従業員にとって働きやすい環境を確保でき、組織の活性化にも繋がります。
従業員の業績がアップする
従業員の仕事へのモチベーションや誇りを維持できるうえに、やる気をアップさせることも可能です。
ワークエンゲージメントの高い従業員は、専門的な研修の受講や資格取得などの自己啓発を目指す場合も多く、
個人の業績アップも期待できます。
心理的ストレスから従業員を守れる
ワークエンゲージメントが高まると業務に対するストレスを低下させることも可能なため、
従業員のメンタルヘルス対策にもつながります。
従来の発生したストレス要因に対策を施すのではなく、ストレスの予防によって健康な組織作りを進めることができます。
従業員の定着率が向上する
ワークエンゲージメントの向上は、従業員満足度のアップにもつながります。
よって、ワークエンゲージメントが高まるほど従業員の定着率がアップし、離職率を低下させることも可能です。
顧客満足度が上がる
ワークエンゲージメントを高めた従業員は、仕事に誇りや自信を持てるようになります。
自社の商品やサービスを説明する姿勢にも積極性が生まれ、信頼感や安心感につなげられます。
また、ワークエンゲージメントの高い企業では、良質な商品が生まれやすいです。
このように、従業員の積極性が間接的に顧客満足度や業績に良い影響を与えると考えられています。
ワークエンゲージメントを高める2つの要素
ワークエンゲージメントを高めるための要素は、大きく分けて2つあります。
仕事の資源
仕事の資源とは、業務負担の軽減やモチベーションアップなどの役割を果たす要因のことです。
具体的には、上司や同僚によるサポート、立場・裁量権、パフォーマンスに対するフィードバック、
多様性のあるミッションなどが挙げられます。
仕事の資源を意識した取り組みを実践することで、動機づけを行う、成長機会を与えるなどのアプローチも有効です。
このような仕事の資源が増えるほど、ワークエンゲージメントが向上する傾向にあります。
個人の資源
個人の資源とは、ストレスを減らす、モチベーションを高めるうえで重要になる自分自身の内的要因のことです。
例えば、自己効力感の向上や、仕事・職場に対する楽観性などが挙げられます。
特に「自分ならできる」と思える自信の源となる自己効力感は、ワークエンゲージメントとの相関が高いと言われています。
ワークエンゲージメントを高めるために必要なこと
ワークエンゲージメントを向上させるためには、以下で解説するポイントを参考にしましょう。
やる気や強みを発揮できる仕組みをつくる
人材配置を適切に行えば、従業員のやる気や強みを引き出しやすくなります。
ただし、こなせる業務だけでなく難易度の高い仕事も与え、従業員に目標を立てさせることで、
この会社にいれば成長できると感じさせることも大切です。
会社側は、従業員ごとのスキルや価値観をしっかりと把握したうえで、人材配置を検討しましょう。
十分な人員を確保する
一般的に、慢性的な人手不足に陥っている企業は従業員1人あたりの業務量が多く、
ワークエンゲージメントが低い傾向にあります。
ワークエンゲージメントの向上を目指す場合は、十分な人員を確保し、従業員の業務負担を軽減することも必要です。
人員の確保が難しい場合は、業務フローの見直しや業務内容の棚卸しなどを行い、業務量の改善を図りましょう。
社内コミュニケーションを円滑にする
社内コミュニケーションが活発な企業は職場内の人間関係が良好で、
従業員が企業に貢献したいという気持ちが強い傾向にあります。
特に、上司と部下の関係が良好な場合、意見やアイデアの提案や悩み相談などもしやすくなります。
また、休暇の取得や、残業時間の減少などによって労働環境も整うため、ワークエンゲージメントの向上に繋がります。
オフィス環境を工夫する
大人数が参加する会議や社外とのテレビ会議に対応できる共有スペースから、
声をかけられて作業を中断する心配のないブース型の個室スペースまで、
様々な用途のスペースを社内に設置すれば、ワークエンゲージメントを向上しやすくなります。
また、仮眠室や社内カフェなどの従業員がリラックス、リフレッシュできる環境を整備し、
業務と休憩にメリハリが持てるオフィスを整えることも大切です。
これに伴い、従業員が業務や気分に合わせて場所を選び、自律的に働けるABWの考え方を取り入れる企業も増えています。
ワークエンゲージメントを向上させる際の注意点
ワークエンゲージメントの向上を図るための取り組みを実施する際は、以下の点に注意しましょう。
ワーカホリックと見分ける
先述したとおり、ワーカホリックは、ワークエンゲージメントとは異なり、仕事中毒のことを指しています。
不安の強い心理状態のまま、ひたすら働き続けるという傾向にあります。
第三者から見れば仕事熱心でワークエンゲージメントの高い従業員と判断されてしまう場合も少なくありません。
ワーカホリックとワークエンゲージメントを見分けるためには、従業員が活力を持ち続けて楽しく働いているか、
仕事への姿勢や意欲が前向きであるかが、2つを見分ける判断材料になります。
集中力を高めたり、ストレスを軽減したりできる環境にする
同じ座席で1日中集中力を保ち続けるのは、簡単なことではありません。
上述したように、会社側は1人で集中して作業できるスペースやリフレッシュスペースなどを設けるようにしましょう。
メリハリのあるオフィス環境を用意することができれば、従業員のワークエンゲージメントを高めやすくなります。
ネガティブ思考にも寛容になる
ポジティブ思考の従業員のほうが組織から重宝されやすいと考える方もいるかもしれません。
しかし、ネガティブ思考も組織において重要な役割を果たします。
例えば、不満や心配事から、新しい商品・サービスの発想が生まれる可能性があります。
ポジティブ思考とネガティブ思考は、必要に応じて使い分けることが大切です。
従業員のパーソナリティを無視しない
ワークエンゲージメントは従業員のメンタル面に関わる要素が多いため、本人が変わろうとしなければ効果は期待できません。
会社側から従業員にアプローチする際は、あらかじめ従業員ごとにどのような特徴や傾向があるのか、
タイプを見極めておく必要があります。
従業員の性格や行動パターンなどを考慮せずにアプローチしても効果は得られないでしょう。
まとめ
企業全体のパフォーマンスを向上させるには、ワークエンゲージメントの観点から考えてみると良いでしょう。
ワークエンゲージメントを高めるための最初の取り組みとして、オフィス環境の見直し、改善が挙げられます。
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