中京大学様は愛知県を拠点とする総合大学として、多様な学びの領域を通じて人材育成に取り組まれています。学生の学修・研究環境の充実に加え、キャンパス内の施設整備や学生生活の質向上にも力を入れ、学びと交流が生まれる場づくりを進められています。今回、名古屋キャンパス内ラウンジをリニューアル。学生も参加するワークショップを開催し、利用者の声を取り入れながらプロジェクトに取り組まれました。中心となって取りまとめられた財務部 管財課の山田 祥也様にお話を伺いました。
中京大学
財務部 管財課 山田 祥也 様
| 所在地 | 愛知県名古屋市昭和区八事本町101-2 |
|---|---|
| URL | https://www.chukyo-u.ac.jp/ |
| 業種 | 学校・教育 |
| 人数 | 約8000人(生徒数として) |
| 面積 | 59坪(本件対象面積として) |
お客様の課題
- 老朽化で居心地が悪く、利用が伸びない
- PC利用増に対して電源が不足
- 交流と集中の両方に対応できる席・空間が足りない
コクヨのご提案
- 学生参加型ワークショップで要望を整理し、コンセプトを具体化
- 交流エリア/集中エリアをつくり分けた空間設計
- 防音ツールや靴を脱げるスペース等で“過ごし方”に合う場を実装
まず、今回のラウンジリニューアルのきっかけについて教えていただけますか
(山田様)
中京大学名古屋キャンパスの0号館センタービル内にある、学生が利用する共用ラウンジのリニューアルプロジェクトです。対象は6〜8階のラウンジ計4か所で、これらをまとめてリニューアルしました。進行体制としては複数社に参画いただき、各ラウンジを分担して進めていただきました。コクヨさんには、6階西側奥のラウンジと、8階のエレベーターホールを出てすぐのメインラウンジの計2か所を担当いただきました。
今回のリニューアルは、計画段階から「企業と学生が一緒に進める」学生参加型のプロジェクトです。学内で参加学生を公募し、集まった学生を各社のチームに分け、担当ラウンジの検討をワークショップ形式で進めていただきました。
私は中京大学で施設管理を担う「管財課」に所属しています。本プロジェクトでは、私ともう2名の職員を中心に、全体企画、スケジュール管理、業者様との窓口調整など、進行・統括を担当しました。
リニューアルのきかっけについて教えてください
(山田様)
大きくは、建物・設備の老朽化と、学生の過ごし方の変化の2点です。
まず老朽化についてですが、センタービルは1994年竣工で、すでに約30年が経過しています。これまでも教室や学内施設は用途変更などに合わせて段階的に改修してきた一方、ラウンジはほぼ30年間手を入れられていませんでした。その結果、ソファの生地が破れていたり、ハイカウンターの脚が大きく歪んで座りづらくなっていたり、照明が少なくて全体的に薄暗かったりと、使いづらさや不満が目立つようになっていました。
もう一つは、学生の過ごし方や利用シーンそのものが変わったことです。いまは学生が1人1台パソコンを持つのが当たり前になり、オンライン授業の受講やレポート作成など、教室以外でもPCを使って作業する学生がここ数年で急増しました。
さらに、2025年4月にセンタービル2階食堂をリニューアルしたことで、カフェのように居心地の良い空間に生まれ変わりました。魅力的になった分、学生が食堂に集中し「食堂は居心地が良いのに、上階のラウンジは使いにくい」という声も出ていました。
こうした背景から、「老朽化への対応」と「現代の学生の過ごし方に合った空間づくり」を目指して、今回のプロジェクトがスタートしました。
以前のラウンジでの過ごし方や環境における課題を教えてください
(山田様)
一番の課題は、充電できる場所がとにかく足りなかったことです。ここ数年で、学生が1人1台パソコンを持って授業を受けるのが当たり前になってきたのですが、設備がそこまで追いついていませんでした。教室も昔の設計のままなので、コンセントの数がどうしても限られてしまっていて。
では別の方法で補えるかというと、ポータブルバッテリーを置くのも管理の問題が出てきますし、授業によっては机を動かすこともあるので、床から配線を立ち上げるような対応もなかなか難しいんです。そうなると結局、休み時間や空きコマに食堂やラウンジで充電するしかなくて、パソコン作業が増えている学生にとっては、充電環境が整っていないのがかなり大きなストレスになっていました。
もう一つは、利用目的に応じた席や空間のつくり分け(ゾーニング)ができていなかったことです。従来のラウンジにはカフェのように向かい合って座って会話ができる席がほとんどなく、複数人で集まって話せる場所が十分ではありませんでした。一方で、1人で集中して勉強や作業をしたい場合もカウンター席だと隣の声や視線が気になりやすく、落ち着いて使いにくい。目的に応じて使い分けられる環境が整っていなかったことも大きな課題でした。
コクヨマーケティングをはじめとする企業を選ばれた理由を教えてください
(山田様)
せっかくリニューアルをするなら、ただ綺麗にするだけでなく学生にとって過ごしやすいラウンジにしたいという思いは大学側で一致していました。そう考えたときに、計画段階から学生に参加してもらうのが一番いいのでは、という話になったんです。実際に日常的に使うのは学生なので、「どんなラウンジが欲しいのか」「大学の中でどういう場所が必要なのか」「どんな過ごし方をしたいのか」といった生の声を聞きながら一緒に作っていきたいと思いました。
そこで学内でポスターなどを使って公募を行い、集まってくれた1〜3年生の学生22名と企業の皆さまによるワークショップ形式で進めることにしました。
また、中京大学では近年「社会連携教育センター」を立ち上げて、企業や自治体など地域と連携しながら、学生が社会課題に取り組む実践の機会を増やす取り組みを進めています。そうした流れもあって、今回のラウンジ改修も学生が関わるプロジェクトとして進められると良いなと思い、コクヨさんを含めて3社の企業様にお声がけさせていただいた、という経緯です。日頃から教室のデスクや研究室の什器などでお世話になっていたこともあり、まずは信頼感のあるところからご相談させていただきました。
大学側は「基本的に口を出しすぎない」「否定しない」という方針を最初に決めて、学生の発想をできるだけ自由に引き出せる環境づくりに徹しました。ワークショップの進め方も多くは企業様にお任せしたのですが、3社それぞれやり方が全然違っていて、それが面白かったですね。例えばコクヨさんは、最初に現状のラウンジの改善点やもっとこうしたいといった要望を学生にどんどん出してもらって付箋で貼っていって…というやり方をされていて。他の企業様だと「新しく出来るラウンジをどういう風に使いたいか」というイメージを膨らませるところから入ったり、まずはとにかく仲良くなりましょう、とレクリエーションで打ち解けるところから始まったりと、本当にさまざまでした。進め方が違う分、それぞれのチームのカラーや学生の個性も見えてきて、毎回その様子を覗かせていただくのがとても楽しかったです。
コクヨが担当したエリアのコンセプトや特徴について教えてください
(山田様)
まずプロジェクト全体のテーマとして、大学側から「Cross Road(交差点)」というキーワードを提示させていただきました。そのテーマを受けて、コクヨさんチームの学生たちが解釈を広げながら考案してくれたのが、「Link & Drift(リンク アンド ドリフト)」というコンセプトです。
8階の「Link」は、「合流(link up)」がテーマです。高層階ならではの景色や大きな窓を活かして、公園や森のような雰囲気をイメージしたレイアウトになっています。アースカラーや緑のカーペットを基調にしていて、大人数でにぎやかにおしゃべりをしたり、ピクニック気分で過ごしたりできる空間です。さらに学生からの「どうしても靴を脱ぎたい」という熱い要望を受け(笑)、靴を脱いで上がれるスペースも設けました。

一方、6階の「Drift」は、「漂う(drift off=眠りにつく)」がテーマです。海を連想させる青を基調に、1人で集中して作業をしたりゆったり休憩したりできる比較的静かな空間を目指しました。耳元まで覆うパネルで視線や音を遮れる卓上ブース『QUNON(キュノン)』なども配置して、好きな席を選べる自由度とプライベート感を両立させています。
「視線を遮ってゆったり眠れる場所がほしい」とか、「靴を脱いで座りたい」といったアイデアは、大人の発想だけだとなかなか出てこないものだと思います。学生たちの生の声と、それを形にするコクヨさんの商材や提案がうまく噛み合って、とても良い空間になったと感じています。

課題解決に向けて、構築時にこだわったポイントや実現した手段について教えてください
(山田様)
一番こだわったのは「学生と企業様が主体のプロジェクトにする」という点です。せっかくこういう機会があって企業様にも学生にも協力してもらえるので、大学側が最初から「こういう空間にします」と決めてしまうよりも、まずは自由に考えてもらった方がいいだろうと。ですので大学としては基本的に口を出さない方針で、最初に「自由にやってください」とお伝えしていました。
もちろん何でもかんでも実現できるわけではありませんので、条件面や運用面でどうしても調整が必要なところだけは「ちょっと待った」をかけさせていただいて(笑)。そこは学生ともきちんと話をして、現実的にできること・難しいことを整理しながら進めた形です。ただ、コクヨさんの担当エリアに関しては、そうした最低限の調整以外は基本的に「やりたいことはやってください」というスタンスでお願いしました。
この進め方が良かったなと思うのは、例えば先ほどの「靴を脱いで使えるスペースが欲しい」といったアイデアですね。学生から出てくる発想は大人だけで考えているとなかなか出てきませんし、仮に大学側から上層部に説明しようとすると通りづらい内容もあると思います。でも、学生の意見としてしっかり整理されていて、さらに企業様が具体的な商材やレイアウトまで落とし込んで提案してくださると、上層部も「なるほどね」と納得しやすくなるんです。大学の風土としても学生が何かをつくり上げる活動に協力しようという気風が強いので、そこも追い風になりました。
もう一つ、かなり意識したのが「インプットの機会をつくる」ことです。例えば「ラウンジでどう過ごしたい?」と聞いても、そもそもイメージできる材料がないとなかなか言葉にできません。なので、アイデアを出すための“種”を増やすことが必要だと感じていました。
その一環としてコクヨさんのオフィスも見学させていただき、学生にもいろいろな空間を実際に見てもらいました。するとそこで「こういうのを取り入れたい」という声が自然に出てくるんですよね。ラウンジに設置した吸音パネルはまさにそうで、見学で見たものがきっかけになって学生が「これが欲しい!」と言ってくれて、そこから取り入れることになった要素の一つです。
構築時に苦労した点や、それをどのように乗り越えられたかについて教えてください
(山田様)
事務局として大変だったのは、プロジェクトが始動する前の準備段階です。これまでなら大学側で業者さんとやり取りをして比較的スムーズに進められていたのですが、今回は学生を集めてさらに複数社に入っていただく形で進めるという、大学としても初めての試みが多かったんです。どういう説明をすれば関係者にきちんと伝わるのか、プロジェクトの枠組みをどう設計すれば良いのかも含めて手探りで進めていました。
学生への公募も、正直「本当に集まるのかな」という不安はありました。学生が普段どこを見ているのか、どこにポスターを貼ると目に留まるのか、といったところから試行錯誤でしたね。結果的には参加してくれたので安心しましたが、動き出すまでが一番ドキドキしていました。
それと、やはり予算は一番苦労しました(笑)。想定していたより費用が上がってしまった部分もあったのですが、お金を理由に「ごめんね、これはできない」と簡単に切ってしまうのはせっかく参加してくれた学生に対しても違うなと思っていて。できる限り実現できるように学内で調整しながら進めました。終始意識していたのは、「学生のやりたいことを、どう実現できる形に落とし込むか」という点だったと思います。
これは学生側の話になりますが、ワークショップが始まってから大変そうだと感じたのは意見のまとめ方です。どのチームも共通してそこは苦労していて、ワークショップの後に「聞いてくださいよー」みたいに声をかけてきてくれる子もいましたし(笑)、学生同士で夜遅くまで話し込んでいることもありました。考え方は一人ひとり違うので、「私はこうしたい」「私はこうで…」の着地点を見つけるのは、大人でも難しいところを学生のうちから体験しているなあと。
ただ、そこをきちんと乗り越えていったのがすごいと思っています。コクヨさんチームの提案で特に覚えているのは、交換日記を1冊作って、集まれた人が議事録を書き残し、参加できなかった人も後から読めるようにしていたことですね。意見がぶつかる場面もある中で、そうしたアナログな工夫やオンラインツールも活用しながらなんとか前に進めようとしていました。授業やバイト、資格講座などで全員が同じタイミングで集まれるわけではないですし、プロジェクトに割けるリソースの量も違います。その中でもできるだけ意見の偏りが出ないようにして全員が納得できる形に落とし込もうとしていたのは本当に感心しました。
ワークショップの最終段階では、各チームがまとめた案をプレゼンするデザイン発表会を行い、学園の役員の前でも発表してもらいました。プレゼン自体も学生主体で、企業の皆さまが後ろから支える形で進めていただきました。段階的に合意形成を積み上げて、最後に形になるところまで持っていけた、というのが、今回乗り越えた一番大きな山だったのかなと思います。

リニューアル後、学生の皆様の過ごし方はどのように変わりましたか?また、感じておられる効果や予想外の反応などがありましたら教えてください
(山田様)
まず、ラウンジを使っている学生の数は旧ラウンジの時と比べて格段に増えました。いつ通っても一定数席が埋まっていることが多くて「あ、ちゃんと使われる場所になったな」という実感があります。新しくてきれいになった、というのももちろんあると思うのですが、見ていると学生自身がその時の気分や目的に合わせて自分の居場所を選んでいる感じがするんですよね。学生それぞれにお気に入りのラウンジや席ができてきているのもなんとなく見えてきました。例えば『QUNON(キュノン)』のように囲われ感のある席は、就活のオンライン面接などにも活用されているようです。学内に自分が落ち着ける場所や好きな場所ができて、目的に合わせた過ごし方ができているという意味では、空間のゾーニングもうまくいっているのではないかと思います。「ここに居る理由がある」という使われ方は、以前のラウンジではあまり見られなかった印象でした。
使われ方の“時間帯”も変わってきたと思います。以前は授業の合間に少し座るくらいで、授業が終わるとほとんど人がいませんでした。使うとしても1人で静かに座っている、という様子が多かったんです。今は複数人で使っている姿も増えましたし、夜遅くまで集中して勉強している学生も多くて、結果として学校にいる時間自体が伸びたんじゃないかなと感じています。
背景には、コロナ禍を経て「友達の作り方が分からない」「居場所がない」と悩む学生が一定数増えた、という状況もあると思っています。私自身中京大学の卒業生で、学生の頃はラウンジに集まって夜までワイワイ過ごした思い出もあるのですが、コロナ禍で学校生活は大きく変わらざるを得ませんでした。サークルや部活動も減りましたし、オリエンテーションのような友達をつくる機会も少なくなって、学校に来ること自体が難しかった時期もありました。授業には出ているけど友達がいない、という学生が増えてしまった印象があります。ちょうどコロナ禍真っただ中の頃に学生窓口の部署にいたので、相談を受けたりアンケートの声を見たりする機会も多くて、こちらもいろいろ考えさせられました。
だから今回のラウンジも、単なる学習スペースというより、学生にとっての「居場所」や「コミュニケーションのきっかけ」になってくれたら、という思いはありました。ゼミなどでもどんどん使ってもらって構いませんし、実際にホワイトボードも設置して「自由に使ってください」という運用にしています。人が集まることで、そこから何かコミュニケーションが生まれるきっかけになればいいなと思っています。
学生の反応としては、分かりやすく「すごい」が多いです(笑)。授業終わりに通りかかった学生が「うわーすごい」と言いながら、そのまま入っていく声が聞こえたりして。順応も早くて、もう普通に勉強したり、くつろいだりしている。靴を脱ぐスペースで寝ている学生を見かけることなんかもありますが(笑)、それって安心して過ごせる場所になっているということでもあると思うので、うまく活用してくれているのかなと感じています。使用制限はあまり設けず、飲食も含めて自由に使ってもらえる場として運用できているのは良かった点ですね。
大学の主人公はやはり学生です。その学生にとってどれだけ過ごしやすい空間をつくれるかは、大人が考えるだけではたどり着けない答えがたくさんあるんだということを今回改めて実感しました。実際に使う人たちの声を聞きながら何かをつくる大切さは私自身も強く学ばせていただきましたし、学生にとっても、将来社会に出たときにこの経験が活きてくれたらと思います。
また別のプロジェクトを立ち上げる機会でも、学生を主役にしながら連携して進めるという姿勢は継続していきたいです。近隣の他大学さんからも「中京大学で面白いことをやっているね」と関心を寄せていただいているので、こうした取り組みが広がって地域全体が盛り上がっていけば嬉しいですね。今後も学生に寄り添いながら、より良いキャンパス環境づくりを進めていきたいと考えています。
コクヨマーケティングをプロジェクトのパートナーとして選ばれた理由を教えてください
(山田様)
コクヨさんには日頃からさまざまな場面でお世話になっていて、大学としても初の試みとなる今回のプロジェクトを一緒に進めていただくうえでとても心強い存在だと考えてお声がけしました。ご相談した際もすぐにご快諾いただき、計画の進め方や、学生の意見をどう引き出していくかといった部分まで丁寧にサポートしていただきました。
プロジェクトの一環として学生たちと一緒に品川・名古屋のショールーム/ライブオフィスも見学させていただいたのですが、商品の豊富さはもちろん、空間のつくり方がとても上手で、用途に応じて使い分けられながらも運用としては自由度高く使われている点に驚きました。中でも「街に開かれた場所」があるのは印象的でした。社員の方だけでなく地域の方や周辺企業の方も立ち寄っていて、単に“社員のためのオフィス”という枠を超えて学びの場が多く用意されているところにも魅力を感じました。
どこか大学のような雰囲気もあって、『THE CAMPUS』という名称にも私たちと通じるものがあると感じました。商品と空間の両面で、学生が見たときに「こんなに選択肢があるんだ」と実感できることはすごく大事ですし、そこはコクヨさんの大きな強みだと今回のプロジェクトを通して改めて実感しました。
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