1.会社移転のメリット・デメリット
会社移転を社員の働きやすさ改善につなげるために、まずは、メリット・デメリットを押さえておきましょう。
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好立地な場所や最新の設備を備えたオフィスビル等に移転することにより、以下のようなメリットが想定されます。
・社員のモチベーション向上
・ブランディング強化
・優秀な人材の確保
・定着率の向上
一方で、以下のようなデメリットも想定されます。
・コスト
・準備にかかる時間
・手間
会社移転はメリットがある一方で、多くの時間・コストを要します。
失敗しないためには、適切な進め方と注意点を事前に把握しておくことが大切です。

2.移転の8~7か月前までにやること
規模の大小にもよりますが、一般的にオフィス移転には、約8か月程度の準備期間が必要です。
会社移転の8か月前までを目安に対応すべきことを解説します。
1.移転の目的・方針の設定
担当者の選定・プロジェクトチームを発足し、現オフィスの課題の洗い出しを行います。必要に応じて社内ヒアリングや調査を行いながら、移転の目的や移転により達成したいことを整理しましょう。移転まで8か月を切っている場合や、担当者が十分な時間・知見を持たない場合は、オフィス移転を専門とする外部パートナーの支援サービスを利用するのも選択肢の一つです。
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2.現オフィスの解約について確認
いま入居しているオフィスの解約は、移転先オフィスの契約や全体のスケジュールに大きく影響します。賃貸契約書に書かれている以下の項目を事前に確認しましょう。
・解約予告期間(いつまでに通知が必要か)の確認
・解約予約
・原状回復(借りたときと同じ状態に戻すこと)の条件・費用の確認
・預託金(テナントの債務を担保するため借主が貸主に無利息で預け入れる金銭)の返却時期
・その他特約条項の有無の確認
解約予告期間は、一般的に「解約日の6か月前までに申し出が必要」とされていますが、契約内容により異なるケースもあります。違反すると違約金などがかかる可能性もあるため、事前に契約内容をきちんと確認しましょう。
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3.移転スケジュールの策定
前述のとおり、オフィス移転には8か月~長いと1年以上もの期間を要します。移転の8か月前までには大まかな移転のスケジュールと、フェーズごとのやることリストを作成し、準備を進めましょう。
スケジュールは移転後の営業開始日から逆算して検討するとスムーズです。
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4.移転先の物件探し
新オフィスの要件を整理し、移転先の物件を探します。まずチェックすべきなのは立地や社員の通勤時間・費用への影響、家賃・共益費・保証金・更新料といったコストです。電気容量・敷設可能な通信キャリア・空調・セキュリティなどのオフィスの設備や、周辺環境として飲食店・銀行・医療機関などの有無は働きやすさに大きく影響するため、忘れず確認しましょう。
5.業者の選定
各作業をどの業者に依頼するかを検討します。主な依頼先は以下のとおりです。
・移転先の物件・仲介:不動産業者
・移転先のレイアウト、工事、施工:設計、内装、工事施工業者
・オフィス環境の整備:オフィス家具、OA機器業者、リース業者など
・現オフィスの荷物を移動する:引っ越し業者
・現オフィスを入居前の状態に戻す:原状回復業者
個別に依頼すると、調整の煩雑さや部分最適に陥る懸念があるため、移転プロジェクト全体をアウトソースするケースもあります。

3.移転の6~3か月前までにやること
会社移転の6~3か月前までを目安に対応すべきことを解説します。
1.レイアウトの検討
移転先の動線・レイアウトは、効率性・安全面や社員の声などを十分に配慮したうえで検討を進めましょう。主にやることは以下のとおりです。
・ゾーニング計画(用途別に必要なスペースを整理、エリア分け)
・各部屋の配置の検討(会議室、応接室、休憩室など)
・レイアウトプランの作成
最後に、移転の目的に沿ったレイアウトになっているかの最終チェックを行います。
2.オフィス家具やインフラの手配
レイアウトの検討と同時並行で、インテリア・インフラの手配を進めます。やることは以下のとおりです。
・家具・OA機器や廃棄するものの洗い出し
・電話回線、LAN工事などの手配
・リース品の継続可否の判断
・見積もりの取得
電話回線やインターネットなどの通信インフラは稼働に大きな影響を与えるため、トラブルに備えた対策が必要です。事前の動作検証を行いましょう。
3.各業者との契約・打ち合わせ
移転にかかわるすべての業者と打ち合わせを進めます。このとき、認識に齟齬が生じたまま話を進めて全体の進捗に大きく影響することもあります。業者の作業範囲や、いつまでに何を進めるのかといったスケジュールは、入念に確認しましょう。

4.移転の2~1か月前までにやること
会社移転の2か月前までを目安に対応すべきことを解説します。
1.取引先への挨拶の準備
挨拶先のリストアップや挨拶状の手配を進めましょう。取引先以外にも、会計士事務所・弁護士事務所などの業務委託先、各種加入団体、定期購読している雑誌・新聞、会員制サービスなどや消耗品の購入先への通知が必要です。
2.書類・備品などの住所変更
現住所の記載がある書類・備品などは事前に洗い出し、移転後すぐ変更できるよう準備しておきましょう。たとえばホームページ、社判、契約書・請求書、名刺、社員証、伝票、封筒などは確認が必要です。
3.社内周知・移転準備
円滑に移転を行い、通常業務への影響を最小限にとどめるためには、丁寧に社内周知を行う必要があります。社内マニュアルには移転の目的や新オフィスのレイアウト、荷造りの役割分担、当日のクライアント対応、トラブル時の問い合わせ先、当日のタイムスケジュールなどを記載します。マニュアルを配布するだけでなく、社内説明会も開催しましょう。
移転当日は業務がストップし、通信設備などの調整に時間がかかる可能性があります。当日に慌てないよう業務調整を促すことも大切です。
4. 施主検査
実施図面どおりに工事が行われているか、家具やOA機器の配置が依頼どおりになっているかなど、入居前の最終的な確認を行います。
5.移転当日~1か月以内にやること
会社移転当日~1か月以内を目安に対応すべきことを解説します。
1.移転当日の作業確認・立ち合い
当日は、荷物搬出・搬入時のトラブルなどを避けるため、新旧オフィスそれぞれでの立ち合いが必要です。また、自分たちがつけたものではない傷があった場合は、養生前に撮影しておきましょう。荷物が漏れなく届いているか、破損がないかも確認してください。
2.原状回復工事の完了・引き渡し
引っ越し作業が完了したら、原状回復工事に着工します。撤去や修繕をして、解約日までに引き渡しを行います。工事期間の目安は1か月程度です。事前の打ち合わせ通りに施工が進んでいるか確認するため、定期的に進捗報告するよう依頼しておきましょう。
【関連コラム】オフィスの原状回復義務の範囲は?注意点やスケジュールなども合わせて解説
3.口座・クレジットカード情報の変更
銀行口座や法人契約のクレジットカードは、早めに住所変更しましょう。銀行口座は窓口やWebで変更できます。クレジットカードはWebで必要書類を取り寄せ、手続きを進めます。手順や必要書類は銀行・会社によって異なるため、事前に問い合わせましょう。
4.各機関への届け出
会社移転時には、各所への届け出が必要です。届け出が必要な機関は以下のとおりです。
・法務局(登記所)
・税務署
・社会保険事務所
・労働基準監督署
・公共職業安定所(ハローワーク)
・郵便局
・消防署
届け出は期日が設定されているものもあるため、漏れ・遅れなく対応しましょう。

6.会社移転の際に必要な行政手続き
会社移転に伴い届出が必要な書類と届出先を紹介します。 会社移転の際に必要な主な届け出の届け先・種類・提出期限は以下のとおりです。 【無料ダウンロード】はじめてのオフィス移転お役立ちマニュアル(Excel版チェックリスト付き)
変更がある可能性もございますので、提出書類や提出期限などの詳細は各関係官庁に確認のうえ対応をお願いします。
7.会社移転成功のポイント
会社移転はコスト・手間を要する大きなプロジェクトです。
失敗を防ぐには、移転の目的の明確化が重要です。家賃の安さで決めずに、移転後に実現したい働き方まで含め目的を整理しましょう。
平常業務への影響を最小限に抑えるため、スケジューリングやタスクの分散、社員への周知などの配慮も欠かせません。
移転業者の選定は、費用・デザインだけでなく、継続的な付き合いができるか・理想のオフィスづくりに対応できるかといった複数の視点から慎重に比較・検討しましょう。
8.まとめ
会社移転ではやることが多岐にわたります。いつまでに何をやらなければいけないのか、スケジュール・チェックリストを明確にして対応を進めましょう。会社移転を成功させるには、業者選びの選定も重要です。
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