コラム

自助・共助・公助、企業防災は何助か?企業防災でできることの限界を知る

企業防災、オフィス防災の難しさはどこにあるのでしょうか。

働き方の多様化が進む中、昨今の新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務などのリモートワークがますます増加することが予想されます。
企業防災についても、従業員分の防災用品をオフィスに備蓄しておくという企業依存型の防災対策から転換期を迎えることになります。
従業員個人の防災意識向上のためにも、企業防災の限界をどうワーカーに伝えていくか、それこそがこれから最も重要なテーマになるのではないしょうか。

そもそも防災対策は、企業の経済活動に対し直接的には寄与をせず、かつ使わないかもしれなということを前提に、その多くが設置・導入されています。消火器のように設置義務はなく、その割に手間やコストのかかる任意型の防災対策(備蓄等)については、自治体でさえその導入や維持には苦慮しています。

このコラムでは、自助・共助・公助の観点から、企業防災でできることは何か、を考察してきます。

1.自助・共助・公助とは?


自分自身が行う防災は自助、地域の中での助け合い等は共助、自治体や消防、警察、自衛隊等によって行われる防災は公助とされています。


阪神・淡路大震災において多くの生命が共助により救われたことや、公助には物理的にも限界があることが知られるようになり、平成30年の防災白書によれば、公助依存ではなく、自助や共助を重視すべきと考えている人の割合は非常に高くなっています(全体の64.3%)。しかし、その中に企業防災は明記されていません。


では企業防災とは何助なのでしょうか?


2.企業防災の難しさ


自助・共助・公助の関係性について、広く社会全体の構成要素としてみるのであれば、個人も企業などの組織も同じ立場にあると言えます。また自助ができていなければ共助の余地はなく、その前提として公助の限界について知っておくべきだとすれば、それはやはり個人も組織も同様です。しかし企業の場合、さらにその構成要素たるワーカーとの関係性においても自助・共助・公助(公助の定義にはならないが、立場がそれに近いもの)が二重に存在しており、そのことが企業防災の難しさを生んでいます。



自治体等による公助への依存は減っていると述べましたが、企業に対するワーカーからの依存はむしろ増加傾向にあります。例えば自宅では防災対策に取り組んでいてもオフィスでは何も対策はしていないというワーカーは相当数おり、企業としての取り組みを進めれば進めるほど、ワーカーの過度な安心と依存度を高めてしまうという矛盾がそこにはあります。また日頃企業から執務環境を提供され、その感覚のままに災害時においても同等の支援があると、無意識に感じてしまうことも原因としてあるのかもしれません。



●社会全体としてみた自助・共助・公助の相関を図示したもの/●企業防災としてみた自助・共助・公助の相関を図示したもの


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3.企業防災の限界を伝える


企業に対するワーカーの依存度が高いことに加え、当社にて実施した防災担当者に関するアンケート調査によれば、


●毎年一定の予算がある(29.4%)


●防災の業務経験が5年未満である(81.0%)


●防災業務は兼務である(99.4%)


となっており、防災担当者は厳しい環境の中で業務にあたっていることがわかります。コメントの中には「5年に1回買い替えを行う業務をコスト削減、平準化が求められるバック部門で行っているため、担当した社員の人事考課が下がることもあった。」などというものまでありました


企業防災の限界をどうワーカーに伝えていくか、それこそがこれから最も重要なテーマになるのではないしょうか。


コクヨでは企業防災の限界を伝え、ワーカーの意識を向上させるために、ワーカー向けの防災イベントを定期的に行っています。


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▲社員参加型でワークショップ形式で防災の知識を学びました



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▲オフィスから徒歩で帰宅した場合の道順と距離を確認しています



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▲アルファ化米はトマトジュースを入れるとリゾットのようになりました



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▲簡易トイレの使い方を皆で確認しています



このように、企業防災としての備えを周知させながら、いざ発災時にはどのような行動をとるのか、仲間とともに社員一人ひとりが考える機会を作るのも一つです。また、緊急時にスムースに使えるように、備蓄品に普段から触れておくことも大切です。


【関連コラム】防災備蓄を時間軸で考える


4.防災のプロが分析:コクヨ社員の「防災力」アンケート結果


防災のプロであるコクヨ防災メンバーが回答を分析!コクヨの企業防災はどのくらい進んでいるのか?自分はどのくらいの防災力を持っているのか?全16問のうち5問を抜粋し、東西、オフィス別にわけて集計しました。


■■アンケート期間:2019/9/4(水)~9/20(金)、回答数404件■■


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<診断コメント>3日間滞留のルールを知っていても、家族が心配だという理由で早い段階での帰宅を選択する人が多かったようです。東日本エリアで翌日帰宅と回答した人が多くみられたのは、東日本大震災の経験が影響したと思われます。ただし、これは危険な傾向です。あの時の首都圏は被災地ではなく単に電車が半日止まっていただけだとシビアに認識すべきです。実際、首都直下が発生した際には、この疑似成功体験が仇となるリスクも考えられます。子供や介護など「帰りたい理由」があるのであれば、帰れない”こと”を前提に対策を話し合っておきましょう。



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<診断コメント>一部または全部を知っていたと回答した人が東西共に7割近くになりました。これはコクヨ社員の防災力の高さと総務部メンバーの努力の証です。一般的な大企業ではだいたい2~3割程度だと思います。今後は先ほどのアンケート結果にもあるように「知っていても帰る人が多い」ということを前提に、直ちに帰宅することのリスクについても具体的な発信をしていくことができればと思います。




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<診断コメント>自社で防災事業をやっているということもあり、全体的にはかなり高い認知度です。一般的な企業だと1割程度だと思います。しかしながら、事業所別でみると差がはっきりと出ていますので、まだまだ周知の必要性があります。営業拠点の防災力が高いのはコクヨならではかもしれません。





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<診断コメント>あまり大勢で帰宅することは心身共に負荷が大きくなる、はぐれてしまうなどのリスクもあります。しかしながら気心の知れた同僚と2~3人で帰宅すると安心度はかなり増します。検証実験でも3人程度がもっともストレスなく帰宅ができました(歩く速さと体力の差が大きすぎない前提)。一度社内のランチ仲間、飲み友達と「もし帰宅することになったら」と話題にしてみてはいかがでしょうか?


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<診断コメント>モバイルバッテリーやペットボトル、雨具などは災害への備えではなく日頃のちょっとした「いざ」への備えだと思います。しかしながら備えを消費することでその効果を日々実感し、継続することに繋がります。そして継続が災害時にも大きく役立つことにもなります。特にモバイルバッテリーなどは会社では備蓄されないものなので、個人で準備しておくと安心だと思います。






もの、こと、体験。様々な備えが心の余裕を生み、「災害時の正しい判断=防災力」につながります。今回、全体的には良い結果でしたが、引き続き防災力の維持・向上を目指してまいります。


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