社員食堂は、従業員の昼食ニーズを満たすだけでなく、従業員満足度を向上させるうえでも大切な施設です。そのため、最近では従業員のリフレッシュや憩いの場、社内イベントなど多目的に活用できるよう内装デザインやレイアウトにこだわった社員食堂の事例が増えています。
本記事は、従来の社員食堂からレイアウトや内装デザインを一新し、多目的に活用できる社員食堂へのリニューアルを検討されている方に向けて、レイアウトや内装デザインを決めるポイントやおしゃれな社員食堂の事例をご紹介します。
※食堂運営会社のご紹介や水回り、火気設備工事のご相談は承っておりませんのでご了承ください
おしゃれな社員食堂のデザイン検討時のポイント
社員食堂の用途を「食事をする場」に限定すると「ランチタイム中しか利用されずそれ以外の時間は閑散としている」、その一方で「ミーティングスペースや会議室は不足している」といった事態が発生し、オフィス空間を有効活用できている状態とはいえなくなってしまいます。
社員食堂を多目的なスペースとして利用できるように設えることよって、これまでの「食事をする場」からコミュニケーション活性化のための空間としての有効活用が可能となります。
社員食堂を多目的に有効活用するためのデザイン検討時のポイントについて解説します。
導線を意識する
社員食堂には、昼食をとる人が一斉に集まります。手狭な空間に無作為にテーブルを置いてしまうと使い勝手が課題となるでしょう。
利用する人の動線を意識し、配膳と下膳、食事スペースが円滑に移動できる設計が大切です。通路幅に余裕をもたせ、移動に十分なスペースを確保します。
快適な社員食堂のための基本的な通路幅
<社員食堂レイアウト例①>
A:テーブルと壁面の通路幅(メイン導線の場合) | 1,200mm |
B:座面と壁面の通路幅(メイン導線の場合) | 1,600mm |
C:座席と座席の通路幅 | 1,600mm |
D:テーブルとテーブルの通路幅 | 900mm |
<社員食堂レイアウト例②>
A:座席と壁面の通路幅 | 1,200mm |
B:座席と壁面の通路幅(メイン導線の場合) | 1,600mm |
C:座席と座席の通路幅 | 1,200mm |
D:座席と座席の通路幅(メイン導線の場合) | 2,000mm |
内装デザインに変化をつける
社員食堂の内装デザインには、執務スペースと異なる雰囲気を採用するとよいでしょう。社員食堂に来た従業員の気分を切り替え、リラックスしながら昼食をとれるようにするためです。
インテリアに観葉植物を用いる、アクセントとして照明にこだわるなどの工夫も、くつろげる空間の演出に効果的です。また、調理・配膳スペースを見えにくくするなど、昼食時以外でも使いやすい雰囲気をつくりましょう。
ワーカーが集まりやすい雰囲気を作り、仕掛けや工夫を入れることで、食堂の活用はさらに高まります。食堂空間を一般のカフェのようなイメージで構築する例も増えています。
オフィスのカフェスペースの設置事例についてはこちらのページで詳しくご紹介しています。
多目的に活用可能な設計にする
柔軟性をもった社員食堂は、多目的に活用できるスペースにもなります。ミーティングや休憩、イベントなどフレキシブルに利用でき、スペースの存在意義が高まるでしょう。
イベント時や平場のスペースが作りやすいよう、動かしやすく収納効率のよい家具がおすすめです。また、ミーティングスペースとしての活用も視野に入れる場合は、パソコンやモニターの利用も考慮し、レイアウト変更時に電源が使用できる位置にあるのかやWi-Fiなどのインターネット環境の確認も大切です。
さらに、セミナーやイベント時に使用する場合は、スクリーンやマイク設備の位置もあらかじめ考慮しましょう。お客様をお招きしてのイベントなど、外部の方の利用がある場合には、トイレへの導線とセキュリティの確保も重要です。なお、就業時間中に外部の方の利用頻度が高い場合は、社員のリフレッシュスペースは別に用意する、パーティションで仕切るなどの対応を検討しましょう。
参考にしたいおしゃれな社員食堂レイアウト例
社員食堂レイアウトの参考として、コクヨマーケティングが手掛けた社員食堂の事例を4つ紹介します。
西日本高速道路エンジニアリング九州株式会社様 カフェをイメージしたリフレッシュ空間
西日本高速道路エンジニアリング九州株式会社様は、ビル全体のリニューアル工事を行う中で空きスペースの有効活用として、社内若手メンバーを中心にPJを組成し、カフェをイメージした食事やリフレッシュや、ソロワークができる空間を構築しました。
一人でホッと一息つけるカウンターテーブルや2名以上で食事ができるテーブル席があります。テーブル席の片側にはゆったりと座れるベンチを設置しています。
また、エリア内には、複数名で利用できる小上がりの畳コーナーも設置しています。靴を脱ぐことで、モードチェンジを促進し、よりリラックスできる仕掛けにしています。
西日本高速道路エンジニアリング九州株式会社様の事例はこちらのページでご紹介していますので、ぜひご覧ください。
株式会社エムティエス様の社員食堂
株式会社エムティエス様の社員食堂の事例をご紹介します。食堂内には、4名用のテーブル席と1名用のカウンター席があります。4人用のテーブルはキャスター付きのため、利用人数に応じて、簡単にレイアウト変更が可能です。1名用のカウンター席は窓際に設置し、1人でゆったりと休息できる環境もつくっています。
株式会社エムティエス様の事例はこちらのページで詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
パナソニック コネクト株式会社 福岡事業場様の社員食堂
パナソニック コネクト株式会社福岡事業場様は、コミュニケーションの加速を目指して社員食堂のリニューアルを実施しました。食堂の入口正面には「ミノスク( MINOSHIMA SQUARE )」のシンボルサインとグリーンを囲むようにベンチ席を設置。福岡らしさを演出するため「やぐら」を設置し、福岡拠点勤務の従業員だけではなく、出張者やお客様が“福岡を感じられる”ようなイメージに仕上げています。
食堂内には、組み合わせ自由なキャスター付のテーブルやスタッキングができるイスを配置し、用途に合わせて自由にレイアウトを変更することが可能な大規模イベントスペースがあります。
畳に座って「家」のような落ち着いた雰囲気の中でワークすることで、幸福度がアップする「畳エリア」では、一部畳が脱着でき、大人数でテーブルを囲んで過ごせます。
ゆったりとくつろぐことができる「サクメシエリア」では、席のバリエーションを増やすことで利用目的に応じた心地のよい場所を選ぶことができ、配膳・下膳スペースの近くにはクイックで食事ができるスペースなど、バリエーション豊かな構成となっています。
パナソニック コネクト株式会社様の事例はこちらのページで詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
出光興産株式会社 徳山事業所様
オフィス内に2か所の食堂を設置し、それぞれに内装デザインで個性を持たせた事例です。西の食堂は瀬戸内の緑を、東の食堂には瀬戸内の海をイメージさせる内装や家具を選定しました。
▲瀬戸内の緑をイメージした「西地区食堂」
▲瀬戸内の海をイメージした「東地区食堂」
植栽や木目の多用で快適性を高め、執務ができるモニター付きのワークラウンジやカフェ間仕切りを配置するなど、従業員が快適に過ごせる工夫を施しています。席のバリエーションを増やすと、気分や目的に合わせて選択できるようになり、利便性が向上します。
出光興産株式会社 徳山事業所様のオフィス事例はこちらのページで詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
社員食堂ならではのメリット
ここからは、社員食堂の導入を検討中の方に向けて、社員食堂が持つ3つのメリットを解説します。社員食堂には、他の昼食調達手段にはないメリットがあります。
従業員の健康管理・維持に役立つ
社員食堂では、栄養バランスを考慮したできたてのメニューを提供できます。1人暮らしや激務、不規則勤務など、食事面で十分に自己管理が難しい従業員も、社員食堂に行けば手軽に健康的な食事をとれるでしょう。
従業員の健康は、業務効率にかかわる重要な要素です。食事の面から従業員の健康維持を支援できる点が、社員食堂のメリットといえます。
従業員のコミュニケーション活性化が期待できる
社員食堂には、多くの従業員が集まります。食事をしながら気軽にコミュニケーションできる場になり、部署を超えた雑談も発生しやすい環境です。気軽な対話から人間関係が改善したり、イノベーションの芽が生まれたりすることも考えられます。
自社のブランディングに貢献できる
充実した社員食堂は、社内外に「福利厚生制度が充実している企業である」「食事を通じて、従業員を大切にしている企業である」というポジティブなメッセージを発信できます。また、健康に配慮したメニュー構成など、コンセプトが個性的な社員食堂は話題になり、企業のブランディング構築にもプラスの影響を与えます。
社員食堂の導入にあたって注意したいポイント
これから自社に社員食堂を導入しようと考える際に、注意したいポイントを3つ解説します。
社員食堂の開始・運営にコストがかかる
社員食堂は費用がかかります。イニシャルコストはもちろん、人件費や食材費、光熱費などのランニングコストがかかる点も押さえておかなければなりません。また、保健所への届け出や法とルールに則った管理・運営の手間もかかります。
社員食堂を設置するスペースが必要になる
社員食堂は食事をするスペース以外にも、調理用・配膳用など、目的別にある程度のスペースが必要となります。特に、オフィスが手狭になりやすい都市部の場合は、スペースの確保が社員食堂開設のボトルネックになる場合があります。
会社のスタイルと合う運営が難しい
従業員が一斉に昼食をとる働き方ではない企業では、働き方に合った社員食堂の運営が課題になるでしょう。各自異なるタイミングで昼食となるシフト制の職場や、リモートワーカーがいる職場など、会社のスタイルに合わせた運営を模索する必要があります。
まとめ
社員食堂は、旧来は従業員の食費にかかる負担軽減を目的に導入されていましたが、社員食堂を多目的なスペースとして利用できるように設えることよって、「食事をする場」からコミュニケーション活性化のための空間として有効活用が可能となります。「現在の社員食堂をリニューアルし、活用度の高い場にしたい」「内装デザインやレイアウトにこだわった社員食堂を設置したい」といったご相談は、コクヨグループ年間25,000件以上の豊富な実績があるコクヨマーケティングにお任せください。オフィスづくりの経験豊富な担当者が、お客様の働き方に合わせたオフィス空間をご提案します。※食堂運営会社のご紹介や水回り、火気設備工事のご相談は承っておりませんのであらかじめご了承ください
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※食堂運営会社のご紹介や水回り、火気設備工事のご相談は承っておりませんのでご了承ください
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