オフィスで使うデスクの整理整頓は、コストをかけずに手軽にできる業務改善のひとつです。
デスクが常に散らかった状態で仕事をしていると、必要な書類を探すのに時間がかかったり、重要な書類を紛失してしまったりといった大きなミスにつながるリスクがあります。
この記事では、主に固定席で働くオフィスワーカーの方を対象に、デスクを整理整頓するメリットや具体的な整理方法などをご紹介します。
最後に一部、フリーアドレスのデスク整理術もご紹介します。
オフィスの環境を改善し、よりスムーズに業務を進めるためにお役立てください。
オフィスのデスクを整理整頓するメリット
デスクの整理整頓をすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、具体的なメリットについて解説します。
仕事に集中しやすくなる
デスクが整理整頓されていると、目の前の作業に取り組む際に集中しやすくなります。意識していなくても、脳は目に入るすべての物から情報を得ています。デスクのうえに余計な物が多くあると関係ない情報まで入ってくるため、気が散る可能性が高まります。
デスクを常にきれいに片付けておくことで、集中力を高め生産性を上げることができるでしょう。
物を探すことがなくなり時間を節約できる
1人の従業員が書類を探すのに使っている時間は、1日あたり約20分※だといわれています。1年で考えれば、何と約80時間も書類探しに時間を割いていることになります。
デスクが片付いていなければ書類が見つかりにくいため、探すための時間も多くかかるでしょう。
また、デスク上が散らかっていると作業スペースが狭くなるため、業務効率悪化を招く一因となります。
※コクヨ調べ(2017年):1週間に紙書類を探す行為に要している平均時間1.7時間から算出。(週に書類を5日以上検索する有職者1,031名を対象)
仕事の処理能力を高めることにつながる
常にデスク周りを整理整頓する習慣がつけば、必要な情報を合理的に取捨選択するための判断力も身につきます。
仕事の処理能力がアップし、業務でも活かせる可能性が高いでしょう。
整理整頓されていると予定通りに仕事を進めやすくなるため、仕事が思うように進まないといったストレスを抱えることなく業務にあたることができます。
気持ちにも余裕が生まれ、円滑な業務遂行につながるでしょう。
オフィスのデスク整理を始める前におさえておきたい4つのポイント
デスクの整理整頓をする前に確認しておくべき4つのポイントについて解説します。
ポイント1:整理整頓の基本は「捨てる」こと
整理整頓をするためには、不要な物を処分することが基本です。
まずは、いる物といらない物を分別する作業から進めましょう。
例えば、書類の要不要を選別する際には、「ナレムコの法則」という考え方を用いると判断に迷うことなく迅速に仕分けをすることができます。
古い統計ですが、米国のナレムコ(NAREMCO;National Records Management Council)と略称で呼ばれる国際記録管理協議会が、1946年に発表した統計によると、作成・収集後、半年経過した書類の利用率は約10%、1年経過するとわずか1%である、という結果がでています。
つまり、作成・収集後1年経過している書類は、99%廃棄しても問題ないということです。ただし、保存年限を決めている書類で、その途中段階の文書や、まだ継続して使用している文書は対象外とします。
ポイント2:使った物を置きっぱなしにしない
整理整頓された状態を維持するには、普段のデスクの使い方にも注意が必要です。デスクで作業した後は物を置きっぱなしにせず、必ず片付ける習慣をつけましょう。
使ったらすぐに元の場所に片付けるように徹底すれば、整理整頓された状態を保つことができます。いつでも作業しやすい環境を維持しましょう。
ポイント3:物の定位置を決めておく
使った物をすぐに片付けるためには、あらかじめ物の定位置を決めておくのがおすすめです。定位置が決まっていれば、その都度考えなくてもすぐに元の場所に戻すことができます。
トレイや引き出し用の仕切りを活用し、デスク周りで使用する物をどこに置くか決めましょう。戻し忘れを防止するためにも役立ちます。
ポイント4:終業時に整頓する習慣をつける
デスクは毎日使う場所であるため、整理整頓をする習慣づくりが重要です。
毎日の終業時にデスクを整理し、デスク上に何も無い状態で帰ることをルール化しておくことで、毎日デスク周りをリセットできます。
また、始業時もスムーズに仕事を始めることができますし、書類や記録媒体などの放置による情報漏えい防止にもつながります。
オフィスのデスクの片付け・整理整頓の手順
デスクの整理整頓は、思い立った時に一気に行うのが効果的です。ここでは、具体的な片付けの手順を5つのステップに分けてご紹介します。この流れに沿って進めることで、誰でも効率的にデスクを片付け、整理された状態を維持できます。
- 準備を整え、片づけの時間を確保する
- デスクの上と引き出しの中身をすべて出す
- 「要る」「要らない」「保留」に仕分ける
- 物の定位置を決めて収納する
- きれいな状態を維持する習慣をつくる
ステップ1:準備を整え、片付けの時間を確保する
まずは、片付けに集中するための時間を30分〜1時間ほど確保しましょう。他の業務に中断されない時間帯を選ぶのがポイントです。ゴミ袋、不要な書類をまとめる紐、一時的に物を入れる箱など、必要な道具を事前に用意しておくとスムーズに進みます。
ステップ2:デスクの上と引き出しの中身をすべて出す
次に、デスクの上にある物、引き出しの中身をすべて取り出し、デスクを空の状態にします。一度すべて出すことで、自分がどれだけの物を持っているかを正確に把握でき、後の「捨てる」判断がしやすくなります。普段掃除できない場所の拭き掃除もこのタイミングで行いましょう。
ステップ3:「要る」「要らない」「保留」に仕分ける
出した物を一つひとつ手に取り、「要る物」「要らない物」「保留する物」の3つに分類します。「要らない物」は迷わず捨てましょう。判断に迷う書類は「1年以上見ていないものは処分する」といった自分なりのルールを決めると、効率的に作業を進められます。「保留」の物は日付を書いた箱に入れ、一定期間が過ぎたら再度見直します。
ステップ4:物の定位置を決めて収納する
「要る物」を、文房具、書類、私物といったカテゴリーに分け、さらによく使う物から順に使用頻度の高い「一軍」、たまに使う「二軍」とランク付けします。その上で、最も使いやすい一等地に「一軍」の物を配置するなど、物の定位置を決めて収納していきましょう。
ステップ5:きれいな状態を維持する習慣をつくる
最後に、整理整頓された状態を維持するための仕組みを作ります。終業前に5分間だけ片付けタイムを設けたり、「使った物は必ず元の場所に戻す」というルールを徹底したりすることで、きれいなデスクを無理なくキープできます。
【デスクの整理整頓術その1】書類は内容ごとに分類・整理する
ここからは、固定席の方におすすめの具体的なデスク整理術をご紹介します。
デスクの整理整頓で一番に挙げられる悩みは、書類の整理に関することです。
そのため、書類をどのように管理するかは、デスクの整理整頓において非常に重要な課題です。しかし、書類は意識して整理しないと、どんどん増えていってしまいます。
書類をきちんと管理し、デスクを使いやすく整理整頓された状態を維持するためには、専用のファイリングツールを活用するなどの工夫することが大切です。
案件ごとにファイリングし、見出しを付ける
書類をスムーズに探すには、例えば「案件ごとに書類をクリヤーホルダーに入れて、クリヤーホルダーに見出しを付ける」といった対策が非常に効果的です。
書類の種類や重要度にあわせて見出しを分けることで、ひと目で必要な書類がどこにあるかわかります。
付箋を使って簡単に見出しを付けることができるクリヤーホルダーも発売されていますので、書類整理にお悩みの方は、そういったものを活用しながら自分にあった整理方法を取り入れてしましょう。
【デスクの整理整頓術その2】その日使う資料や普段使う物はデスク上に出す
その日に使用する資料は、あらかじめデスクの上に出しておくことで、必要な書類をスムーズに取り出すことができます。
ただし、書類をデスク上に出す際は、平積みにすると作業スペースの圧迫や検索性の低下につながりますので、ファイルボックスなどを利用し「立てて置く」ことをおすすめします。
また、業務で頻繁に使用する文具類も同様に、デスク上に「立てて置く」ことができるペンケースやポーチを活用することで、机上面を有効活用することができると共に、必要な時にすぐに取り出すことができます。
【デスクの整理整頓術その3】引き出しの1段目に文具の定位置をつくる
デスク上に出さない文具は、引き出しの1段目を収納の定位置にしましょう。必要最低限のものに厳選した上で、下の写真にあるような、型抜きシートを活用することで、「使用したら元の場所に戻す」ということを習慣化し、整理整頓された状態を保つことができます。
【デスクの整理整頓術その6】引き出しの2段目は、不定形物を入れる
引き出しの2段目は、通勤バッグやひざ掛けなどの不定形物を収納します。
デスク上に出したペンケースやポーチを収納するスペースも確保しておきましょう。
【デスクの整理整頓術その5】3段目の引き出しはファイルボックスを使って書類を入れる
引き出しの3段目には、書類を収納します。ファイルボックスを活用して整理することで、必要な書類をすぐに取り出すことができます。
引き出しの手前から、使用頻度の高い順にファイルボックスを収納していきましょう。
また、帰宅時に「デスク上に置いたファイルボックスを収納するスペース」を空けておくことも忘れないようにしましょう。
フリーアドレスのデスク整理方法
ここからは、フリーアドレスにおけるデスク整理術をご紹介します。
フリーアドレスには、固定席にあるような引き出しがありませんので、フリーアドレスに対応したツールの導入やルールを検討する必要があります。
フリーアドレスのデスク整理には、「移動式のワゴン」を使う
フリーアドレスのデスクには、荷物をしまうのではなく、使うものをすっきりと「置く」ためのフリーアドレスに配慮したワゴンを使用しましょう。
オフィススペースを圧迫することなく、広い作業スペースを確保することができます。
「カバンフック」を付ける
フリーアドレスの場合、通勤カバンを置く場所も考えなくてはなりません。
先程、ご紹介した移動式ワゴンにカバンを置くのもおすすめですが、移動式ワゴンを置くスペースがない場合には、デスクやイスにカバン用のフックを付ける方法もあります。
フックを付けると、従業員のカバンを置く専用のスペースを設ける必要がなく、省スペースで保管できるため便利です。
カバンフックは、デスクやイスにオプションパーツとして、フックを取り付けられるタイプもあります。
また、デスクの脚がスチール製の場合は、脚にマグネット製のフックを取り付け、カバンフックとして使用する方法もあります。
マグネットフックは、カバンの重量に耐えられるよう、磁力が強力なタイプの商品を選びましょう。
また、スチール製品でも素材の配合によってマグネットが付かないケースもあります。事前にマグネットが付くのかどうか調べてから設置を進めましょう。
フリーアドレス用の持ち運びバッグを使う
デスク上を整理するためには、社内で使用する持ち運びバッグを用意するのもひとつの方法です。
従業員は、パソコンや書類などを自分のロッカーから持ち運びバッグへ移動させて業務に取り組みます。仕事を進めるために必要なアイテムをすべてバッグにまとめられるため、デスクで作業しているときも散らかりにくいというメリットがあります。
また、書類が多い場合は、取って付きのファイルボックスと併用することをおすすめします。
持ち運びのしやすさは勿論のこと、「見出し付きのクリヤーホルダー」と一緒に使用することで、無駄な書類を増やさず、常に整理された状態を維持することができ、フリーアドレスでの書類管理をストレスなく行うことができます。
また、先述の固定席デスクの整理術でもご紹介したとおり、ファイルボックスを使って、書類をデスク上に“立てて置く”ことで、検索性が向上するとともに、机上面を広く使用することができます。
クリーンデスクをルール化する
外出や会議等で長時間席を離れる時は、荷物を置いて席を占有することなく、次の人がデスクを使用することができるよう、デスク上には何も無い状態にすることをルールとして設けるとこで、整理整頓された状態を維持することができます。
クリーンデスクについて詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください。
まとめ
デスク周りを常に整理整頓された状態に保つためには、書類をファイリングしたり、終業時はデスク上を何も無い状態にして帰ることをルール化したりなど、ツールやルールを駆使しながら、習慣化することが大切です。
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デスクの整理整頓に関するよくある質問
- Q1: デスク整理整頓にはどのようなメリットがありますか?
- A1: 仕事への集中力向上、書類探しの時間短縮、処理能力向上などのメリットがあります。1人あたり1日約20分の書類探し時間を削減でき、年間約80時間の時間節約が可能になります。
- Q2: 書類の整理で「ナレムコの法則」とは何ですか?
- A2: 作成・収集後1年経過した書類の利用率はわずか1%という統計に基づく法則です。つまり1年経過した書類は99%廃棄しても問題ないとされ、書類整理の判断基準として活用できます。
- Q3: デスク整理を習慣化するためのコツはありますか?
- A3: 使った物を置きっぱなしにしない、物の定位置を決める、終業時に整頓する習慣をつけることが重要です。特に毎日の終業時にデスク上を何もない状態にすることで、継続的な整理整頓が可能になります。
- Q4: フリーアドレスのデスク整理はどうすればよいですか?
- A4: 個人の荷物は最小限にし、共用スペースを意識した整理が重要です。毎日持ち帰る荷物と共用で使える物を分け、次に使う人のことを考えた片付けを心がけましょう。
- Q5: デスク整理に役立つおすすめの商品はありますか?
- A5: クリヤーホルダーや引き出し用仕切り、デスクトレイなどが効果的です。特に案件ごとにファイリングできるクリヤーホルダーや付箋で簡単に見出しを付けられる商品がおすすめです。